· 

防災士の北海道胆振東部地震支援活動報告 前編

 9月7日から約10日間、北海道胆振東部地震の支援活動として北海道に行っておりました。今年の支援活動の中でも最長の期間でした。今回の支援活動は体にもかなり応えましたが無事戻ってこれてホッとしています。簡単ですが活動内容の報告です。災害支援者や防災関係の方の参考になればと思います。

 

【9月6日】

 地震発生。5時過ぎに起きたら衝撃的なニュースが舞い込んでくる。都内への通勤途中にNHKのウェブのニュース中継を聞きながら情報収集。オフィスについた8時過ぎには、震度7の地震により広範囲に影響がでている状況がかなり見えてきました。ちなみにもともと次の日の9/7から北海道に会議の出席のために出張を予定をしていました。オフィスに着いてまず9/8に予定していた北海道での会議の中止を決定し、出張予定を全キャンセル。

 

 この時点で通常の業務から災害対応モードに切り替えて引き続き情報の収集。震度7という最大規模の震度もそうですが、全道ブラックアウトという非常事態に。また停電のため新千歳空港も全便欠航。

 

 災害発生後には、身の安全が確保できそうな状況で、かつ交通インフラが回復し始める2、3日後に現地入りをするようにしていますが、今回は現地入りのタイミングを見定めるのが難しい状況。この日は終始情報収集で終了。

 

【9月7日】

 朝から継続して情報収集。部署内の話し合いで、フェリーにて支援物資を運び現地入りする案が出る。まだ決定はしていなかったものの、そのように進む事を想定して昼前には準備をして家を出発。

 

 都内にある災害対応用のディーゼル車のバンを引き取りに行って、フェリーが出る大洗に移動。当日便はインターネットでの予約はもうできず、電話窓口の予約のみ。でもこの電話が全くつながりません!焦りながら、4時に大洗のフェリーターミナルについてなんとか19:45発の便の予約完了。もし空き部屋なかったらどうしようと心配しながら移動していましがら、予約ができて一安心。

 

 ほっとするのもつかの間ここから物資の購入が始まります。出航手続きまでに残された時間は2時間。すぐにひたちなかのコストコに移動。広範囲で断水しているという情報があったので、まずは水を20ケース購入。あとは近くのホームセンターに行って懐中電灯や、軽油用の携行管を購入。6時になんとか間に合い、出航の手続き。

 

 この日はバタバタでしたが、現地入りをするための行動をすぐとることができました。ちなみに北海道へのフェリーに乗るのは初めて。車を運び込む作業にはドキドキしました。

(9/7 大洗港からフェリーにて出発)

 

【9月8日】

 フェリーで苫小牧港に着いたのは午後2時。なんと18時間もかかるのです。苫小牧に到着してまずは、苫小牧市内にある苫小牧の教会に行き水を5ケース降ろしました。苫小牧では停電と断水は9/7には解消していました。その後苫小牧市内のスーパーに立ち寄ってみると、生鮮食品はほとんどありませんでしたが、お菓子やお惣菜などはある程度売って

いたので、在庫が多くありそうなものを中心に食料を購入し、そして札幌市内に移動。

 

 バンにて運んできた物資を、札幌神殿という教会の大きな札幌の拠点にてに行って配布。札幌市内でも多くの地域では停電と断水は解消されており、到着した時点では指し当たって水のニーズは緊急ではなくなっていました。このように被災地でのニーズは刻一刻と移り変わっていきます。運んできた水の緊急度はありませんでしたが、緊急物資を運ぶ目的は、必要な物資を運ぶこともそうですが、少しでも安心を届けること。支援物資を運んできてくれだんた、ありがたい、少し安心した、このように被災地の方に少しでも思っていただければそれでいいのだと思っています。

(9/8 札幌神殿に到着し物資を配布)

 

【9月9日】

 日曜日なので、厚別の教会の集会に参加。教会の集会は通常3時間ありますが、災害時ということで今日は1時間の集会だけで終了。お昼には札幌の清田区の里塚という地盤沈下が発生した地域を視察。ちょうど安倍首相が午前中に視察されていたようでした。災害の支援活動を行なう際にやはり現場を直接見て、情報を得ておくことは大事です。もちろん地域の方に迷惑にならないように最大限の配慮を払う必要があります。夕方には再度教会に戻り、札幌の教会の指導者の方々と今後の対応方法について協議。

(9/9 札幌清田区里塚)

 

【9月10日】

 この日から本格的に支援活動を開始。まずは現場の状況確認ということで、むかわ、厚真、安平をまわる計画を立てました。むかわ町にはあまり物資が届いていないという情報が、NHKでも報道されていたので、炊き出し用の消耗品を札幌市内で購入してからむかわ町に移動。むかわ町までの高速道路は特に通行止めもなくスムーズに移動。支援物資を町役場の受付まで運びました。

 

 むかわ町では支援物資は続々と届いており、それらの受け入れと仕分けが必要な状況。むかわ町の社協はボランティアセンターを開設する準備をしており社協の担当者と挨拶。

町役場の周囲の大通りでは倒壊しているがいくつもありました。札幌市内では清田区以外では地震の被害を見ませんでしたが、むかわ町では地震の震度7の破壊力を思い知らされました。むかわ町の状況を大体把握したので、厚真町に移動。途中通行止めの道があり、迂回が必要。

 

 厚真町役場周辺は車でいっぱいで、少し離れた公園の脇に駐車。むかわ町よりもメディアの数が多い。土砂崩れの映像のインパクトでしょうか。厚真町でも社協の担当者を見つけてとりあえず挨拶。こちらもボランティアセンターを立ち上げる準備中。

 

 次に安平町に移動。安平町は町役場とは少し離れた場所にボランティアセンターが開設されていました。こちらでも団体の登録をして、担当者の方に挨拶。このように社協のボランティアセンターが立ち上がる前に顔を出してあいさつしておくと、その後のボランティア活動がスムーズに行く場合が多いです。

 

 ひとまず3つの町の状況が把握できて、今日の時点ですぐにボランティアにニーズがあるのはむかわ町だと分かりました。すぐにむかわ町に戻り4時ごろに到着。そのまま町役場での物資の仕分け作業に加わりました。そして6時ぐらいからは自衛隊が行なっているお風呂の受付作業のお手伝い。タオルを持ってきていない方にタオルを渡す役目でした。7時半ぐらいまでお手伝いして作業終了。

 

 やはり現地の様子を見ることの大切さを感じました。メディアの報道は偏っていたりするので、自分で見て情報を集めて判断することも時には必要です。むかわ町ではボランティアがすぐに必要な状況が分かったので、明日以降のボランティア要員を札幌の教会に要請。

 

(9/10 むかわ町へ支援物資を運搬。午後にはむかわ町にて仕分け作業)

 

後半に続きます。