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書評:ショーン・エイカーの「Big Potential」

 ウェルビーイングの研究者の一人で「ハピネス・アドバンテージ(幸福優位7つの法則)」著者として有名なショーン・エイカーの新刊「Big Potential」が今年1月に出版されました。英語の書籍は本だと読むはしんどいので、オーディオブックで聴いています。「Big Potential」はもうAudibleに登場していましたので、早速聴いてみました。

 

 まだ日本語の書評はほとんどでていないので、レビューの質はともかく、タイミング重視で感想を述べたいと思います。日本でウェルビーイングの取り組みをされている方々のなにかしらの参考になればと思います。

 

 まず著者ショーン・エイカーによる前作「Before Happiness(成功が約束される選択の法則)」は個人的には彼の今までの著作の中で一番よい本だったと思っています。その本で紹介されていた5つ仕組み(フレームワーク)にはオリジナル性があり、どのようにビジネスで望ましい結果を得ることができるかについて分かりやすくまとめてありました。

 

 ということでショーン・エイカーによる新刊「Big Potential」には期待していましたが、オーディオブックをとりあえずひととり最後まで聴いた所感としては、正直なところあまり新鮮さがなく少し残念といった感じでした。著者自身の過去の本や他のウェルビーイングの本と重複する内容がほとんどだったように思います。アマゾン的に評価するなら★★★ぐらいでしょうか。

 

 さてこの本の主題は、最大の成功は個人だけでえられるものではなく、他人のとシナジー効果を発揮することで、潜在性が最大化(Big Potential)され、えることができる、ということ。まずはこの主題が、「7つの習慣」の相互依存状態に似ていますよね。なので、主題自体に新鮮さを感じませんでした。

 

 以下はメモ程度ですが各章の概要です。 

  • イントロ:マングローブで一斉に発光する蛍
  • ポテンシャルの天井をあげる:Googleによるアリストテレス・プロジェクト。成功しているチームの要因は個々の人材の質(学力)などではなくチームとして効果的に機能しているかどうか。
  • ポジティブ・インフルエンサ:、多様性を持つこと、ポジティブな結び目となること
  • パワーの拡大:末端にエンパワーメントすること、誰もが発揮できるリーダーシップ、効果的ななソリューションの重要性、進捗をエネルギーにかえる
  • リソースの向上:比較しないこと、アシストした人を大事にすること
  • ネガティブからのまもり:ネガティブなニュースをコントロールすること、メンタル合気道
  • 成功の維持:意義を常に思い起こす、成功をイメージする、お祝いをする

 

 だいたいこのような内容だったかと思います。日本語版が出たらいつか読み直してみたいと思います。

 

 ちょっと辛口の評価でしたが、7つの習慣の相互依存状態は素晴らしいコンセプトであり、その相互依存状態をポジティブ心理学の側面から説明した「Big Potential」ももちろん素晴らしい内容です。そしてそれを実施することで、個人や組織のウェルビーイングが向上することは間違いないと思います。