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書評:ティール組織

 知人からも薦められていた「ティール組織」。ようやく読むことができました。さらっと目を通した時はあまりインパクトを感じませんでしたが、少しずつ読んで行くと、その知人が推薦していた理由が分かりました。`「テール組織」はいろんな意味で時代を先取りしている、示唆に富んだ内容だったのです。ということで今回は「ティール組織」の感想です。あくまでも感想中心で、言葉や内容の説明はしてません。ですので気になると思った方は読んでみてくださいね。

 

 まずは読む前の印象としてはティール組織?よく分からん、という感じでした。ティール組織にでてくるホルクラシーや自主経営という言葉はなんとなく最近聞いていましたが、内容は理解していませんでした。ある程度本を読み進めることで、ティール組織の全体像も分かり、いかに革新的な考えかたかが分かりました。特に以下の3つの点での気付きがありました。

 

1.合理的な組織の進化系「ティール組織」は確かに存在する。

 

 MBA等で学んだ合理的組織論や戦略論はある程度完成形にあり、もうその先はないと思っていました。従来のMBAで学ぶのは本に出てくる達成組織や、多元型組織に当たります。しかし以下のようなティール型の組織の特徴を読むと、あきらかに以前の組織形態とは違うのです。

  • 自分自身のエゴを切り離し、人生の豊かさを信頼する。
  • 自分の内面に照らして判断をする
  • 強みの上に人生を築く
  • 全体性、心、身体、魂を職場に持ち込む

 これってウェルビーイング心理教育そのものではないですか!なるほどティール組織はウェルビーイング心理教育が組織や働き方に応用された一つの形だと分かりました。

 

 本を読んでいるとティール組織の型破りな事例がいろいろでてきますが、特に衝撃的だったのは、ビョードゾルフという会社の競争についての考え方。本によると「ティール組織のおいては、組織が本当に自社の目的に存在しているとき、競争は存在しない」とのこと。ビュードゾルフの存在目的は「病気の人や高齢者に自主的な、意義のある生活を送ってもらうこと」ということで、このために創業者のとった驚くべき以下の行動が紹介されていました。

  •  会社の革新的な運営方法を文書化し、くわしく発表
  •  競合他社は真似してかまわないという姿勢を打ち出す
  •  会社の手法を説明してほうしいという競合他社からの依頼を受け入れる

 あり得ん!自社の競争の優位性の中身を開示するなんて!これは今までの合理的組織や戦略では起こらないことです。このように今までの組織とティール組織とは明らかに根底の思想レベルで違ということが分かりました。

 

2.実は今の勤務先もティール組織度が高い。

 

 私の職場はユニークでして宗教法人です。末日聖徒イエス・キリスト教会というクリスチャン団体です。教会のさまざまな事業はボランティアで行われていますが、私のように有給で業務を行っている人も若干ですがいます。3年前に転職して、最初は購買の業務をしていました。今はメンタルヘルスや災害支援をしております。そんな職場ですが、では具体的にどんなところがティール組織に当てはまるかと考えてみたところ、以下のように結構当てはまることが多かったのです。

 

自主経営:組織図はあるが上司や職員の垣根がほとんどない。「助言システム」に似たような雰囲気があり、自分で提案していろいろできる。例えば、組織のBCPや避難計画は私は担当外ですが、自ら提案していくつか実現したこともあります。

 

全体性:これは宗教法人なので営利法人よりは容易だとは思いますが、自分のプライベートで信じていることが仕事と直結しています。前に働いていた会社では、クリスチャンである自分の価値と、職員である自分を切り離す必要が少なからずありました。今はありがままの自分で仕事もし、普段の生活もしていて境目がない状態です。また「物語る」については、職員同士で、よかったことや感動したことなどを語り合う機会が定期的にあります。

 

 存在目的:意思決定についてはまさにティール組織に該当します。「感じ取る」ということを組織全体で自然にいつも行っています。当然合理的に考える部分もあるわけですが、「感じ取る」こと、正しいと感じるかどうか、善い行いかどうか、を多くの職員が重視しています。

 

3.社会全体の進化としてのティール

 

 社会全体のパラダイムはすぐには変わるものではありませんが、私が携わっているウェルビーイング心理教育であったり、里山資本主義であったりと、社会全体の新しいパラダイム育ちつつあります。「ティール組織」はそれらに共通した部分が多くあり、確かにこれらの新しいパラダイムの時代が訪れるだろうと感じました。

 

 かなりのボリュームの本なので、書き足りないのですが、以上特に気付きのあった点でした。そしてそれらを踏まえて、今回の学びを以下のように活かしていこうと思いました。

 

1.今の会社へのティール組織の応用

 少し書いたように今の職場の「ティール組織度」は高いと思っています。もう少し詳しく今の職場の「ティール組織度」について調べようと思います。その過程で、もっとこのようにすれば「ティール組織度」が上がるということが出てるでしょう。そしてそれらを職場で提案していきたいと思います。

 

2.自治会へのティール組織の応用

 来年度は自分の地域の自治会長をさせてもらうことになりました。ティール組織を自治会の運用に応用できたら面白いと思っています。もともと自治会はボランティアで運営する組織なので、ティール組織との親和性は高そうです。ティール組織型の自治会。なんだかワクワクしてしまいます。

 

 ということでダラダラと感想を書いてみましたがどうだったでしょうか。分厚い本で、まだ細かいところまで読めていないところもあるので、これからも少しずつ読み込んでいきたいと思います。いろんな分野へ示唆を与えてくれる「ティール組織」。おすすめですので、みなさんも読んでみてくださいね。