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防災士の西日本豪雨活動報告

 7月豪雨の発災から約1ヶ月が経ちました。被害を受けられたみなさまに、心よりお見舞い申し上げます。また一日も早い復興をお祈りいたします。

 

 7月豪雨では仕事の一環として現地入りし支援活動に携わらせていただきました。1ヶ月ということで、日本における災害対応など考えたことについて書いてみたいと思います。

 

 まず私の立場ですが、イメージとしては災害支援団体も行っているNGO/NPOの災害担当者という感じ。(実際は、末日聖徒イエスキリスト教会の管理本部という宗教法人の所属で、災害対応もおこなっている福祉部の職員)

 

 今回は以下の日程にて支援活動に参加させてもらいました。

7月9日:岡山、7月10日~13日~広島、呉

7月17日愛媛、7月18日~22日広島、山口、7月23日~24日愛媛

 

 現地に2度行き、4県の被災地で活動しました。先遣隊としての状況調査、ボランティア団体との連携、地元の教会指導者との連携が主な役割でした。多くの団体の方や、地元の教会員の方々と心を一つにて支援に携わらせていただきました。

 

(7月12日:呉市における支援物資の配布)

 

 地元の教会員は発災直後からボランティア活動を始め、最初の3週間でのボランティアは述べ約500名、支援活動1800時間にもなりました。(教会記事はこちら

 

 その他避難所やボランティアセンターへの物資提供など多くの支援活動が行われました。現地入りしたことにより、これらの大規模な支援活動の少しにでもお役に立てたのかと思います。

(7月21日:呉市におけるヘルピングハンズのボランティア)

 

 さてここからは少し視野を広げて、日本の災害対応全般についての所見になります。

 

 災害対応力という観点からは、7月豪雨で被害の大きかった岡山、広島、愛媛にてそれぞれ情報共有会議が立ち上がったという点が非常に意義のあることでした。これは大阪北部地震の際にも述べたことですが(大阪北部地震の投稿はこちら)、災害時にこの情報共有会議が開催されるということが重要です。

 

 情報共有会議では、行政からの被害状況、避難所の状況の説明、社協からのボランティアセンターの開設状況の説明、そして災害支援団体からの活動状況の説明がなされ、そして参加者の間で必要な調整がなされます。縦型組織の弊害が根強く残る日本社会において、横の共有を実現する情報共有会議の意義は非常に大きいのです。

 

 今回は岡山県の対応が非常に早く、7月9日に開催、次に広島県で7月11日に開催(朝日新聞での記事はこちら。ちなみに私も写っています)、愛媛県は少し時間がかかり、7月23日にようやく開催。愛媛県では、なかなかこの情報共有会議の意味が理解されない部分があって、開催まで時間がかかりました。それでもきちんと開催されたことに意味があったと思います。それぞれの県の情報共有会議は今でも週1の頻度で開催されて、そこで常に最新の状況が共有されています。

 

 また今回の7月豪雨では多くの地域が被災するという広域災害となりました。2011年以降の災害は、広島土砂、常総水害、熊本地震などある程度局地的なものでした。

 

 情報共有会議は2016年に熊本地震の際に初めて正式に行われ、その効果が実証されました。そしてその次に開催されのは、6月の大阪北部地震。ですので広域災害時に複数の県で、情報共有会議が並行して立ち上がるということは今回が初めてのことだったのです。

 

 そう考えると、将来起こるといわれている南海トラフや首都直下地震の備えになったと言えます。近年の熊本地震、そして7月豪雨などを通して、確実に日本全体の災害対応力は強まっていると現場にいながら感じています。

 

 自然災害は出来れば起きては欲しくはないのですが、自然災害は豊かな日本の自然の裏の側面とも言えます。ですので残念ながら自然災害を日本から完全に無くすことはできません。防災力や災害対応力を強化し、自然とより上手に生きていける社会なっていくことを願うばかりです。