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統合医療展は政治的に熱かった

 1月24日は東京ビッグサイトで開催された統合医療展に参加してきました。統合医療とは、現代医学と伝承医学の統合のことで、病気の予防にも力を入れている分野です。仕事で携わっているメンタルヘルスや、ライフワークのポジティブ心理学とも関連してくる分野なので、楽しみにして参加してきました。

 

 展示ブースでは健康器具や新しい健康商品など、さまざまな展示があり興味につきませんでした。サンゴやミミズのサプリとか、音で体の不調を治すとか、目新しいものもたくさんありました。

 

 そんな中「今、求められる医療」というタイトルの、川嶋朗先生の講演とパネルディスカッションのセミナーに参加してきました。予想以上の熱い内容にぶっとんでしまいました。

 

 まず川嶋先生に始まり5人の先生による短いお話しがありました。日本医師会を含む現医療制度の弊害、AIと将来の医療、自然と医療の調和、家庭医の重要性などといった多岐に渡る内容での話があったのち、パネルディスカッションに移りました。講師のお医者さん達はみな国民にとっての真の健康とは何かについて真摯に取り組んでいらっしゃる方々で、また体制批判などもの恐れずに勇気を持って発言されており、いたく感動しました。

 

 それらの話しの中で触れられたのひとつは健康の定義について。現代医療の健康の定義は、「病気がないこと」、であるのに対して伝承医療の定義は、「バランス、自然とのバランス、ウェルネス(幸福感)」であるとのこと。それぞれが現場で、現代の高度の医療の結果病気は治った(もしくは延命できている)が、患者の幸せにはならなかった、というケースを多く見てきてこられた方々の言葉には重みがあります。

 

 またパネルディスカッションでは、日本の医療行政や仕組みについても熱く議論がされていました。5人の医者の統一見解としては、日本の医療制度は限界に来ておりいずれは破綻するだろうとのこと。税収は63兆円しかないのに、社会保障費が32兆円まで達している現状を考えれば正常な感覚ですが、現役の医者がこのように感じていることは非常に説得力があります。

 

 それではどのように医療行政を変えていかないといけないかという議論もあったのですが、統一見解としては、いずれ起こるであろうデフォルト(国の債務不履行)を待つしかないとのこと。つまり今の日本には医療制度や国家財政に大きな問題があり、また多くの人がその危機的状況を知っていながらも、それを自ら変える力がないということです。主体的に変わることができないので、何かしらの外的影響によってでしか変わることができないということです。

 

 この「変われない」ということは、日本の社会の3つ根本課題に含めていますが、やはりその通りなのだと改めて感じました。

 

 そのような状況を理解しているからこそ、統合医療の重要性を理解し、それぞれが地道に努力しているとのことでした。今後ますます高額化する現代医療。そして誰も変えられない医療制度。そしてデフォルトの後の世の中では、コスト意識をしっかり持ち、かつ患者にとっての幸せとは何かを理解するこのような医者がもっと必要とされることでしょう。今回のパネリストはそのような高い理念を持って日々医療業務に携わっておられて、素晴らしい方々だと思いました。

 

 病気の予防については、私も特に去年から低GI値食事、抵糖質などに気を配るようになってきましたが、今回の講演を聞いて自分や家族の健康にはもっと主体的に取り組むべきだと感じました。

 

 大きな制度が変えれない中で、市民の予防意識と高めようと奮闘している医療従事者や自治体の部署もあります。つくば市にも「健康マイレージ」という制度があって、市民の主体的な健康づくりの後押しをしています。参加者にインセンティブがあるような魅力的なプログラムではないですが、このようなプログラムに積極的に参加することも、一市民が今できることのひとつのように思います。

 

 そのようないろんな事を考えさせられた素晴らしいセミナーでした。